「みんなの日本語」第35課では、条件を表す表現「~ば」&「~なら」が導入されます。
この課の最後に、これまでに学習した条件節の違いを確認しておきましょう。
- 「~と」(第21課)
- 「~たら」(第25課)
- 「~ば」(第35課)
優秀なクラスであれば、学生から必ず出る質問です。
そんなとき「それはね~、…」「いい質問ですねー」と用意しておいた教材でさっと説明をする。これで貴方もさらに学生からリスペクトされるはず…
ただし、何も用意していない場合、そんな場合は恐ろしいことが。学生から見下され、冷や汗をかき、寿命を縮めることに...あー恐ろしい。
条件節「と・たら・ば・なら」の違い
上の3つの例文は、「と・たら・ば」の特徴が分かりやすい例文になります。
この条件を表す3つの表現を比較しながら、その違いを確認しておきましょう。
~と (第21課)
「~と」は、道案内や機械の使い方などを説明する場面でよく使われます。
みんなの日本語・第21課で挙げられている例も、ほとんどこれらの場面設定になっています。
仮定条件には使うことができず、「必ず起きる」ことに使います。
良い例
悪い例
では、皆さん。上の2つの例文はどうしてダメなのか、分かりますか?
実際の授業でどうしてこの例文がダメなのか学生に考えてもらうのも良いかもしれません。
では、その答えは...
後件に意志を含む表現が使われているから。
上の例文がダメな理由はこれです。
ちなみに意志を含む表現というのは以下のような表現です。
「しなければなりません」
「したほうがいいです」
「したいです」
「しませんか」
「しましょうか」など
~たら (第25課)
第25課で導入する「~たら」は2つあります。
1つは「たら」で必ず起きる事柄を述べ、後件にその後に成立する事柄を述べるもの、
そしてもう1つは「たら」を使って話し手の仮定を述べるものです。
以下の例文で確認してみましょう。
1)クラスが終わったら、昼ごはんを食べます。
2)100万円あったら、何を買いたいですか。
1)の例文は、前件で必ず起きる事柄(時間の前後関係)を述べ、後件でその前件の完了後に生じる事柄を述べています。
2)の例文は、実際には起こらない話し手の仮定になります。
1)春になったら、お花見ができます。
2)春になったら、お花見をしましょう。
2)の例文を見てください。
後件に「しましょう」という「~と(条件)」では非文になってしまう意志を含む表現が後件にきていますが、「~たら」の場合、非文になりません。
~ば (第35課)
第35課で導入の「~ば」にも使用に制限があります。
上の2つの例文は「~と」と同様、後件が意志表現のため、非文になります。
ただし、(「えっ、また例外?」)
以下の場合は非文になりません。
では、後件が意志表現なのにどうして問題がないのか?
その理由は以下のとおり:
1)の例文は、前件と後件の主語が異なるため、非文にはならず。
2)の例文の場合は、前件の「寒い」という表現が状態を表すものなので、後件に意志表現が来ても非文にはならない...
うああーややこしいですねえ。
「~と、~たら、~ば」のまとめ
以上、条件を示す表現「~と、~たら、~ば」の細かい違いを確認しました。
しかし、この違い、学生にとってはとても厄介なものです。
授業の最後に、次のセリフを忘れず言っておきましょう。
「どれを使っていいか分からんときは、
『~たら』をお使いなさい!」
(「~たら」は制約が少なく、使用範囲が広いんです。)
※ まじめに言います。各コースによって異なりますが、大学で日本語を専門に学ぶ学生にはきちんと説明する、でも日本語会話を学びたいという学生には説明は要らないと思います。使い方を間違っても通じるし。でも、作文などで誤用が見られたときに説明が必要になるので、日本語教師は知識として知っておくことが必要です。
第35課前半の教案はこちらから
コメント
いつも授業の参考にさせていただいています。本当にありがとうございます。
「とばたらなら」の「と」ですが、みん日では、23課ででてくる文型ではないでしょうか。
ご確認のほど、よろしくお願いします。
ぎょ。さま
コメントありがとです。
はい、おっしゃるとおりです。ただ類似文型なのでこのあたりでまとめて比べておいたほうがいいと思ったので出してます☆
ひょんなことからバングラでN5-N4の授業を持つことになり、
こちらのサイトを参考に日本語を勉強しています(日本人ですが…)。
言葉を教えるのってこんなにむつかしいとは、、トホホ
はしさま
ようこそ、日本語教師の世界へ!
私も最初は日本人だから簡単に教えられると思ってました。
でも、難しいからこそ全てが勉強で、はまります。
ぜひ楽しんでくださいねー!