前回に導入した「~と思います」と同じ引用を表す格助詞「と」を使った「~と言います」と「~でしょう?」の導入です。
<普通形>+と言います(練習A3)
「文」(直接引用)+と言います
人が言ったことを引用し述べるために使う文型です。
まずは言う(言った)とおりにそのままことばを引用する【直接引用】を見ていきましょう。
朝、人に会ったとき、「おはよう」と言います。
昼、人に会ったとき、「こんにちは」と言います。
夜、人に会ったとき、「こんばんは」と言います。
ずらずらと挨拶の絵を並べましたが、導入後は理解の確認に「日本語の挨拶」ではなく、他の言語(英語、学習者の母国語)の挨拶に置き変えて学習者に言ってもらいましょう。
さらに、
日本人はお酒を飲むとき、「乾杯」と言います。
日本人は食べるとき、「いただきます」と言います。
帰るとき、先生に「さようなら」と言います。
うちに帰ったとき、「ただいま」と言います。
何と言いますか
プレゼントをもらったとき、何と言いますか。(子どものしつけに使うようなセリフですが…)
「ありがとう」と言います。(いい子でしゅね~)
普通形(間接引用)+と言います
直接引用と違い、間接引用は引用の箇所(発話内容)を普通形に変えなければなりません。
明日テストをします。
(学生のときはこのセリフを自分が言うときが来るとは思わなかったわ。)
授業のあと、シルバさんはスミスさんに会いました。スミスさんは授業を休んでいました。
先生は明日テストがあると言いました。
げっ。
シルバさん、優しいね。ちゃんと教えてあげて。
テストは難しいですよ~。
先生はテストは難しいと言いました。
げえっ。
たくさん勉強しなければなりませんよ~。
先生はたくさん勉強しなければならないと言いました。
...
~でしょう?(練習A4)
聞き手に対し事実を確認する「~でしょう?」
シルバさん、明日はスミスさんの誕生日でしたよね?
パーティーへ行くでしょう?
自身の意見に対する同意を求める「~でしょう?」
毎日日本語学校に通うスミスさんを労うシルバさん。(もう喧嘩はしてないのね)
スミスさん、日本語の勉強は大変でしょう?
漢字は難しいでしょう?
いいえ、そんなに難しくないです。
スミスさんの日本語の先生は教えるのが上手な先生だね。
新出語彙「そんなに」(副詞)もここで使い方を確認です。
第8課で導入済みの「あまり」と同様、「そんなに」のあとは否定形が続きます。
ポイント
「~でしょう?」は聞き手に対する事実の確認(「パーティーへ行く」)や、自身の意見に対する同意を求める(「漢字は難しい」)ときに使う表現です。
文末のイントネーション(⤴)に気を付けます。
コメント
佐藤ひれ様
返信コメントいただいていたのに、今読ませていただいた次第です。ひれさんのイラストは本当に可愛くてわかりやすくて、私も学習者も大好きです。いつもありがたく使わせていただいています。
今回こちらにうかがったのは、33課の伝言「~と言っていました」と21課の引用「~と言いました」で学習者から違いについて聞かれまして…。
21課を教えたとき、「先生が~と言いました」を使って、他の人に教えるように紹介したので、うーん、となっております。「引用」は「言った、言わなかったという事実を問題にしている」、「伝言」は「伝えようとしている」?
21課の「何と言いましたか」33課の「何と言っていましたか」の違い。すっきりできないでいます…。
海外で日本語を教えています。新米ですので、サイトの説明もかわいいイラストもとてもありがたく利用させてもらっています。
「~と言います」は21課ですが、「~とき」は23課の学習事項のため、『朝、人に会ったとき、「おはよう」と言います。』の『朝、人に会ったとき、』の部分は、間接話法で説明されていますか?
すずなさま
コメントありがとうございます。
そうですよね。未習の文型になりますよね。「~とき」は使わず、「朝、人に会いました」→「おはようと言います」のほうがいいですね。
私も海外でやっていますが、新しい文型の導入は絵やCDで場面を理解してもらっていたので、直接法に近いです。そのあと再確認の際に、学習者の母語を使って詳しく説明しています。