「みんなの日本語中級」第1課の後半【読む・書く】の教え方(教案(例)、導入イラスト、クラス活動のアイデア)です。
第1課の前半【話す・聞く】の教案のチェックがまだの人はこちらから。
【読む・書く】文型の語彙
【読む・書く】の文型導入の新出語彙の注意事項は以下のとおりです。
- 「まるで」 副詞。とても似ている、という意味です。
- 「明るい」 対義語「暗い」*「~は性格が明るい」(はが構文)
- 「命」 英語訳”life”だけでは説明不足です。例文(命にかかわる病気、命が助かる、等)を挙げます。
- 「おせち料理」~「正座」 写真を使って導入します。
- 「床」英語訳”floor”だけでは説明不足です。「家や建物の中の床」という説明を補足します。
- 「欠点」 類語「短所」「デメリット」など
- 「~過ぎ」 時間と年齢に使う。(例:8時過ぎに帰って来た。/40歳を過ぎてから疲れやすくなった。ってアラフォーの私のことですか?)
- 「似合う」 例:ミラーさん(に)は青が似合う。 *助詞に注意
【読む・書く】の文法と練習
【読む・書く】部分の文型の導入です。
~のようだ/~のような~/~のように…
この文型は、比喩(メタファー)または例示を表す文型です。
理解は難しくありませんが、 「~のようだ/~のような~/~のように…」の3つの使い方(述部/名詞修飾/連用修飾)があるので、使い方を比較しながら確認しましょう。
マリアさんは歩き方がきれいです。
マリアさんは歩き方がきれいです。
マリアさんは歩き方がきれいです。
「~ようです」(比喩・例示)のまとめ
比較しながらの確認は、以下の例文でもできます。
- このお酒はジュースのようだ。
- 私はジュースのようなお酒しか飲まない。
- このお酒はジュースのように甘い。
練習問題1 「~ようです」(比喩・例示)
ような VS ように
1.きょうは夏の{ ような ように }暑い。
2.彼は日本人の{ ような ように }話せる。
練習問題2 「~ようです」(比喩)
「雪のように白い」など、○○に当てはまる語彙を考える練習です。
練習問題3 「~ようです」(例示)
練習問題4 「~ようです」(比喩・メタファー)
副詞「まるで」を使った例(比喩・メタファー)
副詞「まるで」を伴うと、推量の「~ようだ」(みん日初級・第47課)と曖昧になることがありません。次項の「どうも~ようです」(推量)と比較してみましょう。
副詞「どうも」を使った例(推量)
「ことは/が/を」(名詞化)
動詞の名詞化は初級でも導入済みですが、ここで改めて以下の2点を確認しておきます。
- 動詞の辞書形に「~こと」を付けると名詞になる。動詞を名詞化し、主語(~ことは)や目的語(~ことが、~ことを)として使う。
- 初級では、第18課の「~ことができます」(可能)、「わたしの趣味(夢)は~ことです」で学習済み。
名詞化:「動詞+こと」 VS 「動詞+の」
泳ぐことは、体にいいです = 泳ぐのは、体にいいです
動詞の名詞化には、①「動詞+こと」と②「動詞+の」の2種類があります。
これまで学習した名詞化の2つの使い方の違いを以下の表にまとめました。
動詞の名詞化は線引きが難しいのですが、後ろにくる動詞によって異なることが分かります。
また、判断や感情を述べる動詞文や形容詞文、心理的な行為を述べる文においては「動詞+こと」「動詞+の」の両方が使えます。
~を~と言う
「母国のことばを日本人に教えてあげる」という設定で短文を作る練習をします。5分ぐらいで終わる簡単な練習です。
~という~
「~という~」は、話し手が「聞き手はたぶん知らないだろう」と思う内容について述べるときに使う表現です。
話し手(聞き手)のみしか知らない事項、または、話し手・聞き手の両者があまり知らない事項にも使用します。
夏目漱石を知らない学生のほうが多いですが、これを機会に紹介しましょう。
漱石の小説はいろいろな言語に翻訳されていますし、今はアマゾンで手軽に買えます。
知っててほしい夏目漱石…
「~という」の非文
非文を上の例文を使って確認しましょう。
この場合、誰でも知っている有名なイタリアの「ローマ」に「~という」を使ったため、不自然な文になっています。
練習問題5 『おくりびと』という映画を見ました。
例文のように「 」(かっこ)に入る言葉を考えます。
いつ/どこ/何/だれ/どんなに~でも
「どんなに」は程度を強調する副詞です。「どんな場合でも」という意味になります。
「いつ/どこ/何/だれ/どんなに~でも」のまとめ
最近の若い学生はE.T.を知らないかもしれない...
【読む・書く】「畳」
考えてみましょう
テキストには2つの和室の絵がありますが、別途写真を用意しましょう。日本文化の紹介です。
床の間、ふすま、障子、畳の写真を探します。画質の良い写真は見ているだけでうっとりします。日本は素晴らしい…
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日本語の授業で使用する写真はこちらのサイト【写真AC】で探すのがオススメです。最初に登録(無料)が必要ですが、一度登録してしまえば簡単に利用でき、加工も自由です。高品質の写真が多いので、私もよくお世話になっています。
チャレンジしましょう
教科書では問題の5番に当たる「チャレンジしましょう」です。
ここでは紹介文を書く練習をします。
教科書の1)番の問い「あなたが知っている日本人はどんな家に住んでいますか」は、知り合いの日本人に質問するという活動です。
海外で日本語を学ぶ場合は、近くに日本人の知り合いがいない場合がほとんどなので対応が難しいです。そこで、思い切って下記のようなテーマに変えてしまいましょう。
「アニメ、またはドラマや映画の登場人物はどんな家に住んでいますか」
どうですか?面白いでしょ??
のび太の部屋とかだとアラフォーの私でもよく分かります。アニメ好きの学生のアニメ知識はすごいです。知らないアニメの解答にどう反応していいのか分からないときもありますが、学生間で勝手に盛り上がってくれます。
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以上、「みんなの日本語中級」第1課の【読む・書く】部分の教案と導入イラストでした。続きの第2課の教案&導入イラストはこちら。
コメント
とっても面白くてわかりやすいです。大変参考になりました。本当にありがとうございます。
ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。:)
私も海外在住+アラフォーの日本語教師です!
今学期初めてこの教科書「みんなの日本語中級Ⅰ」を使うので、大変勉強になりました。ありがとうございます☆
第2課もぜひ、よろしくお願いします^^
はじめまして。アラフォー世代、うれしいです。遅くなりましたが、第2課アップしました。ぜひ利用してやってください。
第2課アップ、ありがとうございます!!!
イラストがとても可愛くて(そしてちょっと面白くて)、教師にとっても分かりやすく教えやすい教案でした。
ありがたく活用させていただきますm(_ _)m
コメント、ありがとうございます。第3課、第4課もできるだけ早くアップできるようがんばります。:)
ほんとうに参考になりました。イラストもかわいいですね。
2課も期待しています!!
応援ありがとうございますー。感謝。:)