まじめな先生方は教案も1分刻みで用意されていることと思います。
でも、いくら完璧に準備していても教案どおりに進まないことのほうが多い...
そんなときは、
「シャドーイング」がおススメです。
外国語の発音矯正におすすめ「シャドーイング」
「シャドーイング」は、日本語だけではなく、英語やフランス語などどんな外国語学習にも有効な発音矯正のための練習方法です。
話す力、特に発音を良くしたい場合に効果的な練習で、
ネイティブの発音に近づけることを目的としています。
シャドーはshadow、その名のとおり聞こえてくるネイティブの発音を影のように追いかけてリピートします。
今は便利なケータイアプリ(無料)でもシャドーイング練習ができます。(国際大学、言語教育センター)
英語でのやり方説明もあるので、学習者には便利な学習ツールの一つとして紹介しておきましょう。
シャドーイングの方法
やり方は簡単です。
- 「みんなの日本語」の既習の課の「会話」「練習C」「文型」などのCDを用意する。
- テキストを見ないで、CDの音声を聴くと同時に影のように追いかけてリピートをする。(同時通訳と似ている)
- この「聴きながらリピートをする」ということを1分~2分ほど続ける。
最初の練習では、復唱している内容は理解できなくても大丈夫です。
シャドーイングというのは、発音練習に重点を置いたものなので、何度も繰り返していく中で内容も理解してリピートできれば良しとします。
シャドーイングをするときの注意点
私自身の経験ですが、英語の上達を目指し、ときどきシャドーイングをやっています。車通勤なので、運転をしながらのシャドーイングです。
聞いているラジオのアナウンサーがニュースを読んでいるときや、ゲストと話しているときの会話をシャドーイングしています。
このとき気をつけることは、ネイティブだったら誰でもいいからシャドーイングするというのではなく、理想のアナウンサーを選んでシャドーイングをするということです。
プロのニュースキャスターでも下手な人はいるし、老若男女で話し方が違います。日本語ほど年齢や性別、職業などで話すスタイルが異なってくることはないですが、アラフォー女の私が70代の男性政治家のような話し方をしたら大変です。
日本語を勉強している学生には日本のドラマやアニメでシャドーイングしてもいいよと指導していますが、こちらで人気のアニメ『るろうに剣心』などで練習するとサムライの話し方になっちゃうから気をつけてと注意しています。
シャドーイングは大きい声で復唱しない
シャドーイングを授業で行う場合、大きい声で発声する必要はありません。自分だけが聞こえる程度の音量で十分です。復唱する自分の声が大きすぎるとCDの音が聞こえなくなります。
普段間違えることを恥ずかしがる、リピート練習が苦手な学生も大きい声で復唱しなくてもよいのでこのシャドーイングの練習は熱心に取り組んでくれます。シャドーイング中は自分の間違いを気にしている時間などなく、周りも自分の発声を聞いていないので、緊張しなくて済むんでしょうね。
シャドーイングの教材
授業で初めてシャドーイングを行うときは、シャドーイングの目的や方法を学生にきちんと説明したほうがいいです。市販の日本語教育用のシャドーイング練習本もあるので、それを利用してもいいですね。おすすめは以下の3冊。
日本語教師のための シャドーイング指導
※2019年出版の新しい本です。
では、専用の本がない場合はどうしたらいいの?
全く問題ありません。
「みんなの日本語」の各課の文型、例文、練習ABCを利用したら良いのです。
簡単な上に授業の内容の復習にもなります。
「みん日」は第1版と第2版で声優さんが変わりましたが、個人的には第1版のほうが好きです。聞きやすいから。
いずれにせよ、付属のCDはプロの声優さんの読みですから、学生には堂々とリピートしてもらえますよ。地方出身の教師がつい出してしまう方言のイントネーションもシャドーイングならサヨナラです。
シャドーイングは教師の隠れ技。
準備していた教案が順調に進みすぎて、「ヤバいっ!5分余っちゃった!中途半端じゃん」というときは、チャンスです。
優秀教師らしく、冷静に、何にもなかったように
「では、最後にシャドーイングをしましょう。」で対応。
今日も時間どおりの進行で、優秀教師まっしぐらです。
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