「みんなの日本語」第8課の教え方(前半)では形容詞の名詞修飾を導入しました。
ここ後半では形容詞の叙述用法(練習A1、A2)を導入します。※教科書や教え方の手引きとは異なる順序で導入していきますよ。
~は〈い形容詞〉です
「い形容詞」の叙述用法です。(練習A1の上半分)ああ、簡単。
~は〈な形容詞〉です
「な形容詞」の叙述用法の導入ですが、い形容詞とは異なり、な形容詞の語尾「な」を付けないことに注意します。(練習A1、下半分)
下のイラストを使って文型を確認後、板書で文字でも確認しておきます。
述部のまとめ
ここで、上記のような表を使って、第8課で新出の形容詞とあわせて名詞、動詞の述部のまとめをすると分かりやすいです。
~は〈な形容詞〉じゃありません
叙述用法のな形容詞の否定形です。名詞文と同じで「です」を「じゃ(では)ありません」にします。(練習A2、上半分)
この課の「な形容詞」の新出語彙(全部で10ある)を一つ一つ否定形にする口頭練習を全体でしておきましょう。
~は〈い形容詞〉くないです
叙述用法のい形容詞の否定形です。この課で一番ややこしいところです。(練習A2、下半分)
ここの導入は、教室が静かになったことを確認した上で、慎重に、導入のイラストを見せ、全学生の注意を引きながら言います。
「このかばんは小さくないです」
この導入で教室はざわめきます。この課で1番混乱が起きる導入です。
でも、ゆっくり導入すれば大丈夫。
ここでは教師はあまり繰り返し言わないで、キーフレーズをゆっくりはっきり大きな声で言うといいです。この緊張は学生にも伝わります。
パワーポイントに文字表記も入れておけば、教師はうるさく繰り返す必要はなく、10秒の学生のシンキングタイム(推測タイム)を待てば良いだけになります。
「みんな、わかってちょうだい~」と期待を持ってひたすら待ちます。
どんな導入をするときも、このシ~ンとした推測タイムが大切です。
推測できる能力を伸ばすことが語学学習の鍵です。
学生よりよくしゃべる先生がいますが、教師は黙るに徹する。特にこの推測タイムは、邪魔しないようにしましょう。
*もちろん推測できなかった学生には、媒介語などでフォローを。
いい(よい)→ よくない
い形容詞「いい(よい)」の否定形は、「いい」を使わず、「よい」を使って「よくない」と活用します。「いい」を活用して「いくない(×)」とするエラーが多いので注意します。
とても&あまり(副詞)
「副詞」は、意外とくせものです。
テストでもエラーが多い品詞です。教科書の練習だけでは定着しないことが多いので、オリジナルの教材(練習問題)をたくさん作って練習しておきましょう。
私はいつもここでドラえもんを利用し、どら焼き(和菓子)も日本文化として紹介しています。
下のように矢印付きでまとめると一目で理解しやすいです。
疑問詞「どう」
「どうですか」は、相手に印象、意見、感想などを聞くときに使います。下のイラストの例では「どら焼き」について意見を聞いています。
[~。そして、~] VS [~が、~]
「そして」と「が」の説明は以下のとおりです。
- 接続詞「そして」 良いまたは悪いのいずれかの評価を並列するとき
- 助詞「が」 異なる評価、反対の評価を並べるとき
読点「、」の指導
ここの「~が、~」の使い方で、読点「、」の打ち方も指導します。
日本語の読点を打つ位置は、はっきり線引きできるルールがありません。しかし、ここで導入する「が」と「そして」の後には読点を打ったほうが読み手が分かりやすくなります。そして、その点の書き方にも注意します。欧米の学習者の場合、母語の干渉を受け、読点の向きを右から左にして書いてしまいがちです。
そして? が?
「~。そして、~」と「~が、~」の導入ができたら、以下のような練習問題で理解ができたかどうかを確認しておきます。
- しんかんせんは べんりです。たかいです。
- やまださんは しんせつです。ハンサムです。
- バナナは やすいです。おいしいです。
- かんじは むずかしいです。おもしろいです。
- このレストランは やすいです。そして、 。
- とうきょうは べんりです。そして、 。
- このりんごは たかいです。そして、 。
- このかばんは ふるいですが、 。
- あのひとは きれいですが、 。
- ここはゆうめいじゃありませんが、 。
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