『みんなの日本語・中級』ってどうやって使うの?(1)

300時間をかけて「みんなの日本語・初級」の第50課を終えた学生(日本語能力試験N4レベル)は、中級レベルをスタートさせます。

私がこれまで使用したことがある中級の総合教科書には、「中級へ行こう」「中級を学ぼう・前期」「中級を学ぼう・中期」「上級へのとびら」「J-BRIDGE to Intermediate Japanese」「J301」等がありますが、日本語能力試験や日本の大学進学を目指す学生の場合には「日本語総まとめN3」など専用の対策問題集が使われることも多いです。

どの教科書を使用するかはコースやプログラムの目的によって変わってきますが、ここでは国内外で使用率の高い「みんなの日本語・中級」の使い方についてまとめていきます。

 

 

なお「みんなの日本語・中級」は初級と比べ各課がとても長いので、ここでは特に各課の会話部分【話す・聞く】について紹介していきます。

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「みんなの日本語・中級」とは?

この教科書はその名のとおり「みんなの日本語・初級」に続く日本語中級レベルの総合教科書で、初版は2008年です。新しいですよね。ひと昔前は、マイナーな日本語教育分野の書籍は数も少なく、20年前の教科書とかを普通に使っていましたから。

総合教科書とは4技能(話す・聞く、読む・書く)を分けずに総合的に学ぶ教科書です。

 

「みんなの日本語・中級」は初級同様、1巻(Ⅰ)2巻(Ⅱ)の2冊(各12課、全24課の構成)に分けられており、JLPTのN3およびN2レベルに相当します。

 

「みんなの日本語・中級」の内容

「文型・新出語・会話表現・漢字」の数と授業時間

想定されている学習時間は各課8時間~12時間で、最短で約200時間、最長で約300時間で終えられるようになっています。これは日本で学習するのか、または海外で学習するのかによって異なります。

 

「みんなの日本語中級Ⅰ」文型100項目、新出語910語、会話表現50語、漢字315字
「みんなの日本語中級Ⅱ」文型255項目、新出語2430語、会話表現53語、漢字339字


海外の場合は300時間以上を見ておいたほうがいいでしょう。

 

「みんなの日本語・中級」教科書の構成

教科書の構成は初級とは全く異なります。大まかな構成はⅠ、Ⅱとも共通で、

  1. 「文法・練習」
  2. 「話す・聞く」
  3. 「読む・書く」
  4. 「問題」

という4つの構成です。

 

「みんなの日本語・中級Ⅰ」の授業の流れ ~話す・聞く~

では具体的に上記2番の【話す・聞く】の流れを見ていきましょう。

  • 【話す・聞く】の「文法・練習」の語彙導入
  • 【話す・聞く】の「文法・練習」の文型導入とその練習
  • 【話す・聞く】の「会話」の語彙導入
  • 【話す・聞く】の会話

【話す・聞く】の「文法・練習」の語彙導入

ではまず、語彙導入についてです。

「みん日・初級」同様、分冊テキストとして「文法解説・翻訳」があるので、それを使って新出語彙の確認をしていきます。

中級レベルになり、各課の語彙数は一気に増えます。一度に導入するのではなく、4回に分けて導入しましょう。(全てを1度にすると、1時間以上かかってしまいます!)

1)【話す・聞く】の「文法・練習」
2)「会話」
3)【読む・書く】の「文法・練習」
4)「読解」
の全部で4回です。

【話す・聞く】の「文法・練習」の文型導入とその練習

初級のときと同様にイラスト、絵チャートなどを使って文法項目を導入していきます。

このブログではイラスト付きの教案を課別に詳しく説明しています。

【話す・聞く】の「会話」の語彙導入

上記の【話す・聞く】の「文法・練習」の語彙の導入と同様に【話す・聞く】の「会話」部分の新出語彙を導入します。

【話す・聞く】の会話とその練習

やってみましょう

「やってみましょう」はメインの会話に入る前のイントロダクション(ウォーミングアップ)になります。ここで学習者の先行知識を引き出し、これから学ぶ内容を少しでも分かりやすくすることがねらいです。

第1課の場合は、提示された状況・場面を確認し、既習の語彙と表現を使ってペアで話す活動です。

初級で学んだ語彙や表現でも十分コミュニケーションができる場面ですが、学生は新出の語彙や表現を使おうとするため、時間がかかってしまいます。時間制限(5分以内など)を行い、だらけないようにします。

時間節約する場合は学生同士のペアでなく、「教師」対「学生全員」でする方法もあります。

聞いてみましょう

中級の会話は初級のときの会話の2倍以上の長さになります。

「聞いてみましょう」ではCDの会話を聞き取るためのポイントや注意点が用意されていて、

  1. 内容
  2. 表現

の2つの項目に分かれています。

実際には、全体でこれらの聞き取りポイントを確認してからCDを聴きます。

 

CDを1回聴くだけでは難しいので、内容と表現、それぞれ1~2回ずつCDを聴くことになります。繰り返して聞くことに問題はありませんが、会話の途中で何度もCDを止めて聴くことは避けます。

もう1度聞きましょう

前述の2項目が【話す・聞く】の1ページ目にあり、ページをめくると会話のスクリプトがページ全体に現れます。

この課で学習する文型や会話表現が空白になっているので、ここをディクテーションのように埋めていきます。

前述の「聞いてみましょう」2番の表現の確認で既にチェック済みですのでスムーズに進めることができます。

言ってみましょう

会話をCDで聞いて、お手本(プロの声優の会話)と同じように会話ができるように練習していきます。

ただ単にリピートするのではなく、喜怒哀楽やリズム、スピード、間、フィラーなどもプロの声優をお手本に練習していきます。

アニメ(声優)好きな学生は最初から上手に話していますが、会話が苦手な学生も何度も繰り返し練習していると上達していくのがよく分かります。

練習を始める前に、イントネーションや声の大きさ、ポーズなどにも気をつけるよう指導しておきましょう。

シャドーイングで練習するのもいいですね。
https://hire39.com/japanese-shadowing

練習をしましょう

この【話す・聞く】では、最後にロールプレイをしますが、そのためのウォーミングアップをここで行います。

テキストにはイラスト付きで新出の文型や会話表現が使われた短い会話が各課2、3題用意されています。

各会話にイラストがあり、白丸〇と黒丸●で、話し手(〇)と聞き手(●)のロール(役)が分けられています。

例の会話を使って各場面/状況を全体で確認し、十分理解ができたら練習を始めます。

テキストを読みながらではなく、イラストだけで会話ができるようになるまで練習しましょう。短い会話なので、すぐにテキストなしで言えるようになります。(すぐに忘れもしますが)

教科書のイラストを見ながら語句を置き換えて練習するみん日初級の練習Cに似た練習ですね。

会話をしましょう

「みんなの日本語・初級」の『会話』には会話ビデオがあり、そのイラストシートが教師用の「教え方の手引き」に用意されていました。残念ながら「みん日・中級」にビデオはないのですが、初級の練習Cや会話のイラストと同様に、4コマ漫画のようなコマ割りされたイラストがまるまる1ページを使って教科書に用意されています。

ここのねらいはこの4コマ漫画のようなイラストを使って、テキストを見ずに会話を復元することです。でも各会話はとても長いのでコースによっては4コマ全てを一度に再現するのではなく、1コマずつ練習したほうがいいかもしれません。

4コマ全てができなくても、各課の学習項目(会話表現)が出ている箇所が産出できれば良いと思います。

会話の練習方法

1対1(教師対学生1人、学生A対学生B、など)で行うと語彙や表現を忘れてしまった場合に会話がストップし、時間がかかり過ぎてしまいます。ここでの練習はテンポ良く行うために「教師対全体」で行うのがおススメです。学生は互いに補いながら会話を進め、時間もそんなにかからず、複数回の練習ができます。

また、4コマイラストは教科書にあるので各学生の手元にあるのですが、私はこれらのイラストをスキャンし、パワーポイントで前に映し出し、教室全体で前を向いて練習するようにしています。本を見ながら、つまり、下を見ながらだと声が出にくいので。

チャレンジしましょう(ロールプレイ)

教科書には、大まかな状況とロール(役)設定がされているのみです。

「教え方の手引き」にはロールカードの例があるので、手間は増えますが、それを参考にカードを用意したほうがいいですね。


みんなの日本語中級1 教え方の手引き [Amazon]

 

 

 

私が作ったロールカードもこのブログで共有しています。ぜひダウンロードし、活用してください。使用後は改善点などコメントいただけると有り難いです。

「みんなの日本語・中級」第1課・ロールプレイカード(PDFダウンロード)
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このロールプレイの評価ポイントは、各課の新出の会話表現が使えているかどうかです。それに加え、初級で学んだ表現も使用しつつ、喜怒哀楽の表現、リズム、スピード、間、フィラーなども指導、評価したいですね。

海外の場合、教室の学習者の母語は同じなので母語でロールカードを作成するほうがいいです。

 

ロールプレイに関しては、国際交流基金のホームページで紹介されている「JF日本語教育スタンダード準拠ロールプレイテスト」が参考になります。実際のロールプレイテストの動画や、カード作成のための手順やマニュアル、各レベルに応じた評価方法などがダウンロードできるようになっています。

私が教えているコースでも評価(期末テスト)の一部にロールプレイを取り入れています。

 

以上が【話す・聞く】の会話部分の流れです。時間数は、各課8時間を設定したコースであれば2時間~3時間、12時間を設定したコースであれば3時間~4時間ぐらいになります。

 

実際の各課の教案(例)はこちらを参考にしてください。

「みんなの日本語中級」第1課(1)教案&イラスト【教え方のまとめ】
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