日本語の教案&イラスト【やりもらい・授受表現】「あげます」

授受表現(やりもらい)の教案とイラスト

文型「やりもらい(授受表現)」の教え方、教案(例)と導入イラストです。「みんなの日本語」では第7課になります。

授受表現の試験では、解答用紙に物の移動を矢印で一生懸命書いて整理して考える学生もいます。ほんとに日本語のテスト?!って思うぐらい、何だか数学のテストみたいになっていて数字嫌いな私からすると気の毒です。

授業では「やりもらい」に慣れるまで徹底的に練習し、「やりもらい」を使うたびに頭の中で母語に翻訳して考えなくてもいいようになってほしいですよね。

 

「やりもらい」(授受表現)

「あげます」「もらいます」「くれます」「やります」「くださいます」「いただきます」「差し上げます」の7つの動詞は授受動詞と呼ばれます。

 

「みんなの日本語」では以下のとおり、3つの課に分けて導入されています。

 「みんなの日本語」の授受動詞 

  • 第7課「あげます」「もらいます」
  • 第24課「くれます」
  • 第41課「やります」「くださいます」「いただきます」
    *「差し上げます」は中級で導入

 

あげます・もらいます【授受表現】

まず、新出語彙で導入済みの「あげます」と「もらいます」を以下のイラストで再度確認します。

同じ文脈でも、視点が変わると動詞も変わります。
(イラストでは主語(視点)を赤丸で囲ってあります。)

 

「あげます」

あげもらい

「もらいます」

あげもらい 授受表現(やりもらい)の教案とイラスト

 

[人]にあげます【授受表現】

「あげます」は物の与え手に視点が置かれた文になります。(練習A4)

 

わたしはシルバさんにプレゼントをあげます。

わたしはスミスさんに花をあげます。

 

指導のポイント

    • 物の受け手を格助詞「に」で表します。
    • 物の受け手に「わたし(話し手)」は使えません。
      ×シルバさんはわたしマンガを貸します。)
    • 新出語彙の「貸します」「教えます」「送ります」「電話をかけます」も「あげます」と同じように使います。

 

シルバさんはスミスさんに傘を貸します。

 

シルバさんはスミスさんにマンガを貸します。

シルバさんの顔、大きすぎた―。怖いよ~

 

誰にあげますか?

「あげます」を使った疑問文で、物の受け手が誰かを知りたいときは 「誰に?」になります。

 

誰にプレゼントをあげますか。

時期が合えば、「クリスマスに誰にプレゼントをあげますか」という質問を学生に一人ずつしていきます。

が、たまに「誰にもあげません」という盛り上がりに欠ける学生もいるので、動揺せずにうまく対処をしましょう。(宗教の問題が絡んでくるときもありので注意です…)

クリスマスの習慣がない国は、母の日、父の日などでもいいですよね。

 

[人]にもらいます【授受表現】

「もらいます」の導入です。(練習A5)

ここでの例は、シルバさんが「わたし(話し手)」です。
導入の前にこの状況をしっかり確認しておきます。
(左の女性はみん日の登場人物ではありませんが、田中さんといいます。)

 

わたしは田中さんにプレゼントをもらいます。

授受表現(やりもらい)の教案とイラスト

 

「もらいます」の注意事項はたくさんあります。以下のポイントを確認しておいてください。

指導のポイント

  • 物の与え手を格助詞「に」で表します。
  • 物の与え手に「わたし(話し手)」は使えません。
    ×シルバさんはわたしにマンガをもらいます。)
  • 新出語彙の「借ります」「ならいます」「電話をもらいます」も「もらいます」と同じように使います。
  • 「もらいます」を使った文で、物の与え手が人ではなく、何らかの機関や組織の場合は「から」を使います。(例:図書館からパンフレットをもらいます。)
    *ただし、この「から」の導入は余裕のあるクラスだけでよいと思います。
  • 「もらいます」は、受け取って嬉しい物や感謝しているときに使います。「宿題をもらいました」というように使うと皮肉っぽくなってしまいます。

 

誰にもらいますか?

物の与え手が誰かを知りたいときは「誰に?」を使います。

 

クリスマスに誰に何をプレゼントをもらいましたか。

授受表現(やりもらい)の教案とイラスト

 

あげます VS もらいます

日本語の授受表現はどこに「視点」を置くかにより、使う動詞が異なります。

初級前半のクラスで詳しい説明は必要ありませんが、「あげます」と「もらいます」の違いは?と聞かれたら、答えはズバリ、次のとおり。

 

  • 「あげます」…与え手が主語
  • 「もらいます」…受け手が主語

そして、両者とも主語の視点から述べた文になります。

同じ授受表現でも「くれます」は視点が異なります。「くれます」の教案も見てください。

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コメント

  1. JAJA より:

    こんにちは。
    模擬授業でイラストを使わせていただきます。
    かわいいイラストを公開していただき、ありがとうございます。

  2. 高谷尚志 より:

    先日イラストの使用を問い合わせたものです。
    使用できるのはダウンロードの分だけですね。
    失礼しました。
    こちらのを参考にして自作します。
    ありがとうございました。

    • 佐藤ひれ佐藤けい子 より:

      返信が遅れました。すみません。
      インターネットなどでの再配布はお断りしていますが、
      イラストを含め、授業で使用する分には制限はありません。
      まだまだ改善が必要ですが、ぜひ使ってやってください。

  3. 高谷尚志 より:

    初めまして。
    私は日本語教師の勉強をしています。
    模擬授業で使うイラストを探してこちらのブログを見つけました。
    あげもらいのイラストなんですが、これはお借りできるのでしょうか?
    よろしくお願いします。

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