海外の日本語教育の現場でもコンピューターを使って教えることが当たり前になってきました。
当然、授業の準備もコンピューターで行い、教材もインターネットで収集し、準備の時間も短縮され…と思いきや、溢れるインターネット上の情報や教師用参考書で、準備時間は増えているような気もします。
海外で日本語教師をする私たちは、ネットのおかげで浦島太郎にならずに済んではいますが、授業の準備にはポイントとコツが必要です。ここでは「イラストを使った日本語の授業」の準備におすすめの本とサイトをまとめていきます。
知っておこう「イラスト・写真」を使った授業
「絵教材CD-ROMブック」(スリーエーネットワーク)
これは必須の教材です。
私は教師なりたてのころ、この絵カードのリアルな、そして昭和チックなところがあまり好きではありませんでした。でも教師歴15年を経て今思うこと…
それは、この絵教材に勝る物はないということです。
みんなの日本語 初級I 第2版 絵教材CD-ROMブック
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白黒
イラストを使うにあたっての1番の条件は「母語がなくても絵を見て瞬時にその意味が分かること」だと思います。
この「みんなの日本語」シリーズの絵教材は、他のイラストが優先するかわいさとかに重きを置かず、その単語の意味を忠実に描いています。おかげで誰が見てもすぐ理解できるんですよね。
新しい語彙の導入に、カラーのイラストはダメ!
瞬時で分かるためには、イラストに必要のない情報、つまり「色」は入らないほうがいいというのが私の意見です。導入=第一印象。最初の印象(インパクト)は重要です。いろんな色が入ると学生は気が散ってしまいます。
それでも、語彙リストの中にはこの絵教材にない単語もあります。
そんなときはやむを得ず、インターネットで検索しますが、そのときもできるだけ白黒のイラストを探します。カラーしかない場合はPPTで色の変更ができるので、白黒に変えて使っています。
新しい文型(=文字)部分のみに色を使うことで、強調したい文型のほうが学習者の記憶に優先されるはずです。
使用するイラストの統一
インターネットで見つけるイラストはイラストを描いた人が同じではないので、どうしても異なるタッチの絵になります。語彙や状況・場面...同じ項目なのに、統一性のないバラバラのイラストだと、集中力が落ちてきます。
また、学校によってはチームティーチングで2名またはそれ以上の教師が一つのチームになり、1クラスを担当することと思います。その場合も、担当教師でイラストの種類が異なると学生にとっては余計な情報量が増え、負担になってしまいます。
このようなことを避けるためにも、担当教師が変わっても共通の絵教材を使用すると授業がスムーズに進むのではないでしょうか。次のクラスで異なる先生が前回のクラスの復習をする場合も、同じ絵カードならすぐ分かります。
初級レベルの1,000近い語彙のイラストを同一のイラストレーターで探すのは不可能です。やはりこの「みんなの日本語 初級I 第2版 絵教材CD-ROMブック」が1番です。
欲しいイラストが絵教材にない場合
必要なイラストが上記の絵教材にない場合があります。
その場合は、まずこのブログで探してみてください。(宣伝してるし!)
でも、このブログにもないという場合、インターネット上のフリーのイラストを探しましょうか。
無料で使えるイラスト&写真のおすすめサイト
インターネットで提供されている絵や写真を使うのであれば、次の7つのサイトがおすすめです。
無料で20万点ものイラストが無料で使用できるすんごいサイトです。まずは無料会員登録をする必要がありますが、頻繁にイラストを使用する私たち日本語教師に必須のサイトかと思います。
イラストACに関しては別の記事でも詳しく書いているので参考にしてください。
有名なサイトで説明は要りませんね。種類が多く、シンプルで使いやすいです。こちらのイラストだけを使うようにすれば統一性が守れます。
同イラストレーターの別サイトもおすすめです。
会員登録不要の使いやすいサイトです。個人的には細いラインのイラストが多いので好きです。
消しゴムで作ったハンコのようなイラスト集です。モノクロなのも良いです。
オリジナルの教材、配布プリントの飾りにしてもいいですね。
名前のとおり、吹き出し専門のサイトです。
導入イラストでよく使う吹き出しですが、ワードやパワーポイントの吹き出しはカワイくないし、大きさも合わないときが多い。そんなときはここから探せばOK。印象の異なる教材に仕上がります。
写真を使う
日本の文化や習慣を紹介するためには、写真が1番です。今は無料で画質の良い写真が手に入るのでよく吟味して、適したものを使いましょう。
「イラストAC」と同じ運営会社のサイトです。豊富な量の写真から検索ワードで簡単に必要な写真を見つけることができます。どの写真も本当に美しくて惚れ惚れします。
国際交流基金が運営する「みんなの教材サイト」です。最近リニューアルされ、ますます使いやすくなりました。「写真AC」同様、まず無料の登録が必要です。
「みんなの教材サイト」の写真は、もともとは厚手の紙(A4の2倍ぐらいの大きさ)で写真集のような物が市販されていたと思います。20年ぐらい前ですが。5冊ぐらいのシリーズで箱収納でした。それぞれの箱の重さが2、3キロぐらいはあったような...片手で持ったなら手首を骨折しそうな重さと大きさでした。
重すぎるという難点はありましたが、外国人学習者への文化紹介という目的に沿ってプロの写真家が撮影したものなので、とても分かりやすく使いやすい写真になっています。20年ぐらい前の写真なので昭和の匂いがプンプンですが、アラフォーにはそれも嬉しい。
20年前は授業と授業の間の短い休み時間に、重~い何百枚の写真の中から必要な写真を探し出し、授業の準備をしていました。汗かく力仕事です。
それが今、インターネットで10秒もあれば検索結果から見つけられるのですから、便利な時代になりました。見つけた写真はダウンロードし、イラスト同様、PPTに貼り付けるだけ。これで準備完了です。
それから、「みんなの教材サイト」のサイトには各写真に文化や習慣の説明がついています。それをそのまま頭に入れて、授業で紹介すればOK。何と素晴らしいことでしょう。
以上、1,000を超える授業をやってきて教師歴も長くなった私が思う「イラストや写真を使った授業」についてでした。
コメント
はじめてサイト拝見しました!すごく分かりやすいしイラストもツボです!オンラインレッスンをしていて何かいいのがないかな?と思っていたところです。
イラスト使用させていただきます。
ブックマーク登録もさせていただきました。ありがとうございます。
コメント、ありがとうございますー。教材の増加、改善がんばっていきますので、どんどん使ってやってくださいー!