「みんなの日本語」の第2課の教案(例)と導入イラストの紹介です。
主な内容は、指示語の「これ・それ・あれ」と、「これは~の~です」(内容を示す格助詞「の」)の2項目です。
新出語彙の導入 ~国名編~
このレベルの語彙は基本的に余計な説明はせず(翻訳も無し)、イラストを使って導入してしまいます。
皆さんは上の国旗がどこの国のものか分かりますか?
「みんなの日本語」第2課の新出語彙なんですが、私はアジア地域が怪しいです。授業では各国旗がどこの国のものなのかを覚えてから使用したほうが良いですね。恥をかきます。
語彙の導入について
基本的に、新出語彙の導入には、『絵教材CD-ROMブック』(スリーエ―ネットワーク)の絵チャートを使いましょう。
教科書ばかりを見て練習するのではなく、学生が顔を上げ、前を向いて声に出して練習できるのが絵チャートです。顔が下に向いてしまっていると、口も下向き、喉は閉まり(?)、声があまり出ません。
みんなの日本語 初級I 第2版 絵教材CD-ROMブック(amazon)
下の投稿でも詳しく書いていますが、絵教材はぜひ利用してほしいですね。
ほとんどの新出語彙のイラストがこの『絵教材CD-ROMブック』に入っていますが、無いものもあります。
例えば、上で紹介しているような国旗のイラストはありません。そんなときはこのブログ「日本語教師は見た!」で検索してみてください。
これは~です/これ・それ・あれ
では、指示語「これ、それ、あれ」を導入しましょう。(練習A1&2)
学習者の母語によっては「それ」と「あれ」が同じ場合もありますが、ここでの指示語の導入はスムーズです。頭を抱える学生を見たことがありませんから安心して堂々とやりましょう。
これは本です。
あれは本です。
指示語とは?
下のイラストを使ってまとめです。
- 「これ」は話し手側にある物
- 「それ」は聞き手側にある物
- 「あれ」は話し手・聞き手の両者から遠いところにある物
指示語を使った質問文
それは本ですか。
はい、そうです。
新出語彙にある「そうです」の使い方をここで確認しておきます。
答え方のバリエーションのまとめ
ここでちょっと、問いかけに対するいろいろな答え方確認しておきましょう。
教科書の練習Bのパターンプラクティスではいつも例文と同じように解答することになりますが、現実の会話では以下のどの方法で答えても間違いじゃありません、よね?そう、答えは一つじゃない。
はい ➡
- はい、本です。
- はい、そうです。
いいえ ➡
- いいえ、本じゃありません。
- いいえ、〇〇です。
- いいえ、違います。
いいえ、ちがいます。
日本人の「いいえ」のジェスチャー(↑のイラスト)が他の国で通じるとも限りません。ここで日本語のジェスチャーや学習者の母国語のジェスチャーについて話しても面白いですよね。
疑問詞「何(なん)」
第1課で既に「何歳」が導入されていますから、理解に問題はありません。
同じ意味だけど発音が違う「何(なに)」がありますが、これらは次に来る音によって使い分けられています。「歳」の「さ」と「です」の「で」には「何(なん)」を使うということですね。「なにさい」とは言いません。
学生には「発音しやすいほうが使われているのよ~。”なにさい”は言いにくいでしょう~。」と説明すればいいでしょう。
これは何ですか。
せこいですが、イラスト再利用です。クエスチョン?の物にモザイクかけました。どんなシチュエーションか分かりませんが。
こちらの例は実際の会話のように使えそうです。
「これは何ですか」とクイズのように学生に問いかけます。今まで解答できた学生はいません。いつも盛り上がります。
そして解答のイメージはこちら↓。
答えは「箸置き」ですが、実物があるならそれを見せて文化紹介をすると最高ですね。
他にも日本独自の(変な)物を見せて、学生たちから「それは何ですか」をうまく引き出せたらこの文型の導入は大成功です。
Aですか、Bですか(選択の疑問文)
2つの疑問文を並べ、どちらかを問う選択の疑問文の導入です。
これは本ですか、ノートですか。
これは「い」ですか、「こ」ですか。
この文型は教科書の練習Bにイラスト付きの練習問題がありますし、レアリア(生教材)を使って練習すると簡単です。
他にも教室にあるひらがな表を使って練習することもできます。例えば、「ほ」を指して、「『は』ですか、『ほ』ですか。」というように。
これは~の~です(内容を表す助詞「の」)
ここでは、あとに続く名詞の内容を表す格助詞「の」を導入します。(練習A3)
これは日本語の雑誌です。
これは英語の雑誌です。
内容を問う疑問詞「何の」
内容を問う疑問詞「何の」の導入です。
「日本語の本、漢字の辞書、家の鍵」というように、できればここでもレアリアを使いましょう。
これは何の本ですか。
導入のクラスにはインパクトを与える現物(レアリア)が勿論いいのですが、第2課は小道具が多くなりがちです。小型のスーツケースをコロコロさせて出勤する先生もいますが、そんなに荷物の持ち運びはできない!という方、教卓の上がごちゃごちゃになって困る!という方は、PPTにイラストを貼り付け、手抜き教材でやっちゃいましょう。
第2課後半の教案&イラストはこちらから。
コメント
日本在住です。最近、外国人の友人に日本語を教えることになりまして、資料を探してました。先生のブログはすごく勉強になります。ありがとうございます!
どんぐりさま
はじめまして。変な絵が多いのですが、お役に立てて光栄です☆
海外在住、日本語を教え始めて3年になります。自分も勉強に励みつつ日本語再発見の日々です。
とても参考になります。今までいろいろな日本語教え方の本、サイト、また直接、先生にアドバイスを頂いたりとしてますが、どんなものよりも参考になり、とても楽しく授業に参加させてもらっているようです。
わかりやすく、楽しく、そして、生徒の目線でやさしいご指導の方法に私も癒されてます。
ありがとうございます。
今後のご活躍とご健闘をお祈りしてます。
是非、これからも続けてください。楽しみにしております。
まりなさま
はじめまして。嬉しいコメントありがとうございます。
私も海外に住み、日本語教師になり、改めて日本の文化や日本語について考えるようになりました。そして多分これからも。
自己流なところが多い教え方ですが、また見に来てやってください。