時間を示す格助詞「に」とやっと出てきた動詞を勉強する「みんなの日本語」第4課(後半)の教え方(教案(例)、導入イラスト、クラス活動のアイデア)です。
学習者は日本語で言えることが増えてきて、勉強が面白くなってきたところでしょうか。ただ学生によってはこの4課の動詞活用でパニックになります…やはり導入は慎重に。
ー時に~ます(助詞「に」)
事柄が生じる時点、時間を示す助詞「に」を導入します。(練習A4)
わたしは7時に起きます。
わたしはー時に起きます。
上のイラストで助詞「に」の導入ができたら、時間の部分を学生の実際の起床時間に置き換えてもらい練習しましょう。
時間を置き換えた練習のあとは、「起きる」以外の動詞でも代入練習をしましょう。
わたしは11時に寝ます。
疑問詞「何時に?」
何時に起きますか。
時間に限りもありますが、個々の学生の理解度を確認することも必要です。私は時々以下のような流れで確認をしています。
- まず、学生一人を指名し、隣に座っている学生に質問(例:「毎朝、何時に起きますか」)をしてもらいます。
- 質問をされた学生はその質問に答え、そのあと反対側にいる隣の学生に同じ質問をします。
- あとは1.と2.のQAを繰り返します。
人数が多いクラスでは時間の問題や単純化等、問題もありますが、個々の理解度の確認ができます。
~から~まで~ます[習慣的な行為]
とうとう来ました。動詞の導入です。ただし、ここでは活用はまだ導入しません。
まずは習慣的な行為を表す「~ます」の形を導入します。(練習A5)
働きます。
月曜日から金曜日まで働きます。
昨日~ました(動詞の過去形)
動詞の活用の導入です。ドキドキ。(練習A6)
きのう働きました。
まず、教師は上のスミスさんが働いているイラストを見せて、新出語彙として確認済みの「きのう」と言います。
そして、教師は黙る。学生は、5秒間の推測タイムです。
推測タイムの後、教師が「働きました」と言うと、
学生から気づきの「あ~~~!」が出ます。
学生が動詞が過去形に活用していることに気づいたら、さらに異なる動詞の活用を導入していきます。
学生に頭を使って自ら気づいてもらう、この作業は学習の上でとても大切なプロセスになります。
でも、学生の気づきが無い場合.....あります。
残念ですが、その場合、私は媒介語で説明してしまいます。しょうがないです。
でももっと残念なのは、必ずクラスに1人は考えるという作業を全くしない学生。即、隣に座っているクラスメートに「えっ、何、何」「どういう意味?」って母国語で聞いてしまっています。学びのチャンスを失うだけじゃなく、クラスメートに迷惑かけてるし。
そのときの私の心の中の叫びはマックス。「考えろ~!頭、使え~」
動詞の活用[ます/ません/ました/ませんでした]
この課の最後の練習A7は、動詞の活用のまとめです。
きのう・おととい・今朝・あした・あさって・今晩の単語が理解できているかを確認しながら、動詞の活用を導入します。
働きました/働きます(現在/未来・過去‐肯定文)
パワーポイントを見て、すぐノートに書きとろうとする学生がいますが(最近は携帯で写真を撮る)、活用表は練習A7で確認できるので、まずは書くより口頭で練習することに集中させましょう。
声に出すほうが絶対に覚えが速いから。
働きません/働きませんでした(現在/未来・過去‐否定文)
例文の「働きます」で活用の例を確認した後は、この課に出てくる基本動詞全てで活用練習をします。
活用の練習には動詞のフラッシュカードを使います。無料ダウンロードはこちらから。
動詞の時制の活用のまとめ
基本的に動詞の活用は
現在・未来形の肯定 → 現在・未来形の否定 → 過去形の肯定 → 過去形の否定
の順で導入しましょう。
あした、働きますか。
はい、働きます。/いいえ、働きません。
きのう、働きましたか。
はい、働きました。/いいえ、働きませんでした。
スライドや板書では否定形は、見てすぐ分かるようにできるだけ赤字にします。
時を表す語彙&表現のまとめ
- 数字を含む時のことばには助詞「に」がつき、含まない場合は「に」はつかない。
- 曜日の場合は助詞「に」の有無は問わない。教科書は( )かっこで表記されている。
短作文で練習しよう。
ここで初めて短い作文の練習ができるようになりました。以下の例を全体で確認し、同じように真似て書く練習をしましょう。
教室活動は、”事情聴取・取り調べ”で
動詞の活用練習に、こちらの教室活動はいかがですか?
インプット用に音声もがんばって用意したので、たくさんの人に使ってほしーぃ
です。
詳細はこちらから↓
「電話番号は何番ですか。」(会話ビデオ)
課の最後の会話(ビデオ)では、電話番号の言い方を導入します。
日本語では、〇〇〇ー〇〇〇〇 と間に「の」を入れることを説明します。
電話番号は何番ですか。
電話番号はこの課以外で扱うことがほとんどないので、定着度はまあまあです。ここでしっかり練習しておきましょう。
第5課の教案はこちらから。
コメント
こんにちは、スペイン在住10年程ですがひょんな事から今年の12月から日本語クラスを持つことになりました。ということもあり、最近ちょくちょくこのページを拝見させて頂いております。記事がとてもわかりやすく参考にさせて頂いたり、イメージをダウンロードさせて頂いています。これからもお邪魔させて頂くと思いますのでよろしくお願いします。
藤田さま
スペインからのコメント、ありがとうございます。
普段の授業の合間にアップしているへなちょこブログですが、世界の同業の先生方のお役に立っていると思うと嬉しい限りです。
これからも見に来てやってください。
とても参考になりました!。
ベレンで日本語教師をしています。
コメント、ありがとうございます!世界の日本語教師の方に見てもらえて嬉しいです。